りんごの魅力を夫婦で発信

さとうりんご園 佐藤文俊代表

奥様と収穫の喜びを味わう

 ーー佐藤さんは多くの試行錯誤を重ねてきたと伺っています
 佐藤「自分で売るために色んなことを試しました」
 ーー恐縮ですが具体的な試みをお聞かせください
 佐藤「加工品をトライしました。ジュースとかお酒とか。しかしなかなか売りづらいですね。やはり生のりんごが最強です。ふるさと納税にも挑戦しました。11月12月はそこそこ出ます」
 ーー自分で売りたいのは、やはり最終消費者とつながりたいとのお気持ちですか
 佐藤「そうですね。実際に食べた人からおいしかったよの反応が来るのは農家としては最大の喜びであり、モチベーションになります。農協に卸すだけでは味わえません」

赤ちゃんは売約済みだそうです

 ーーさとうりんご園の売りは何でしょう
 佐藤「有機肥料を使う栽培です。青森県りんご協会の研修を受け、同協会が定める100%有機肥料の施肥ですべてのりんごを生産しています。味には自信があります」
 ーー産地の過疎化が深刻な問題だとうかがいます
 佐藤「私自身、東京の大学に行き、東京で就職した後に30歳で五所川原に帰ってきました。親戚のりんご農家で2年ほど働いた後に畑を買って新規就農しました。私が買った地域は新規就農ウエルカムだったがそうでない地域もある。農地を借りるのがNGというところもある。人を増やす努力が必要だと思うのですが」
 ーー若手の農家が力をあわせて産地を盛り上げる感じでしょうか
 佐藤「りんご協会の青年部などで何とか産地を盛り上げたいと思っています。しかし既得権益を守りたい勢力もあり、簡単ではありません。農薬を散布する高価な機械を共有する組合になかなか入れてくれないなどです。ただ産地を強くするのは地域全体の利益なので、頑張っていきたいとは思ってます」

パッケージのセンスが光る

 ーーりんごへのこだわりはどこから来ましたか
 佐藤「花から手をかけていく、枝の管理等に愛着が湧きました。うちの奥さんがデザインやパッケージが得意で、りんご販売に大いに力になってくれているのもあります」
 ーー販売ルートはどんな感じでしょう
 佐藤「日本一のりんご産地ということもあり、複数のルートがあります。農協以外に津軽りんご市場、弘前中央青果、日本農業という会社もあります。直販も含め、有効に活用できればと考えています」 

(取材・文 豊川博圭)